生命科学楽しみ隊

生命の持つ不思議や神秘に魅了されております。ここでは生きた証として残しておきたい知識を記しています。

【多摩動物公園】私が記す多摩のオオカミ

こちらの記事で、多摩動物公園タイリクオオカミ「ロボ」と「モロ」一家の歴史についてまとめましたが、今回の記事は私が実際オオカミ舎を訪れた際の記録になります。

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大家族の初期を見ていた人も、最盛期だけを見ていた人も、私のように最後の方だけを見ている人も、はじめから今までずっと見ている人も。

いろんな方がいると思いますが、私はここに自分で見たものを残したいと思います。

 

 

2016年ごろの大放飼場

以前の記事にも載せましたが、私が最初に撮ったオオカミの写真はこちらです。f:id:life_science:20240605160942j:image

この写真は2015年に撮ったものになります。

個体識別出来ず、誰だかも分かりません。

でも気持ち良さそうに寝ていて可愛いなと思います。

 

そして、ここから下の写真は2016年に撮った写真です。

昔使っていたSDカードを見てみたら意外とオオカミの写真が出てきました。

 

誰かしら。

まだ毛が若いですね。

 

右側の耳が丸まってしまっている子は誰だろうか...

2017年は、大放飼場はロイ、ロキ、ロト、チロが出ているとブログで見たので、ネロではなさそうですがわかりません...

 

この子は獣舎にいた子です。

 

 

それから数年、「オオカミを知りたい」という気持ちを持ってオオカミ舎を訪れた際は、放飼場の方では誰がいるところも見つけることができず、獣舎の中にいるかもしれないということにも気づかず、「誰にも会えなかった」と帰ってしまいました。

 

動物慰霊碑前のバス停で降り、アジアの平原の看板を超えた先に小庭があります。

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小庭手前のベンチの正面には大きなガラスがあり、オオカミの大放飼場にある大きな水飲み場が見えるのです。春から夏には緑が生い茂り、水辺を歩くオオカミの姿を想像するととても絵になるなと思いました。

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小庭を進むとガラスはなくなり、モートで仕切られた放飼場がよく見えます。

よくは見えますが、草むらや穴の中などで寝られてしまうと素人には姿を見つけることが出来なくなります。

来園者から身を隠したいオオカミ側になればとてもよい作りだと思います。

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最初で最後だったロイ

この日は眺めていても見つけることが出来ませんでしたが、大放飼場のほうの看板にはロイとロキの写真がありました。

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看板にも室内展示場の案内がありましたが、気付かず小放飼場の通路を一周して帰ってしまいました。

大放飼場の横をまっすぐ進んでいくと、折り返し地点になり、タイリクオオカミの暮らしの説明などが描かれた看板に出会います。

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その横にガラスがあり、小放飼場が見えます。

さらにその奥には、地下通路があり、ガラス越しに小放飼場、フェンス越しに大放飼場が見えるようになっています。

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これは通路から見た小放飼場の一部です。

 

それから季節は変わり、2023年の1月に訪れた際、初めてロイとセロに会えました。

この日も放飼場では誰も見つけることが出来ず、大放飼場の方にはロイとロキが療養中と看板がありました。f:id:life_science:20240605163517j:image

 

この時初めて室内の方へ足を運びました。

それぞれロイロキセロネロと部屋割りが書かれていました。

檻の中を覗いてみると、歩き回ったり、ぺしょっと座りこんだりしているロイと、ぺしょっと身を伏せじっとこちらを見るセロを確認できました。

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ロイ

 

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セロ

 

ロキとネロの姿はよく見えませんでした。

しかし、この次の日にロキが亡くなったとお知らせに載っていたので、見えなかったのはもしかしたら...とも思います。

私は結局ロキには会うことが出来なかったのです。

そしてロイもこの一週間後に亡くなってしまったので、ロイの記録はこれが最初で最後です。

 

 

大放飼場を満喫するネロ

ロキとロイが亡くなり、ネロとセロだけになってしまったオオカミ舎では、二頭がのんびり暮らしていました。

 

写真を撮り忘れてしまっていましたが、確かロイとロキがいた時は、小放飼場の看板にネロとセロの写真が載っていた気がします。

その後大放飼場でネロの姿を見ることがあったので、ネロが大きい方に出ていたのは分かりますが、セロも大きい方に出ていたかが定かではありません...

2023年のまだ雪が降るような寒い日が続いている時期に、大放飼場の小高い丘で一頭のオオカミが休んでいるのを発見しました。これがネロです。

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沈む日を背に、とてもノスタルジックでいい表情でした。

 

また別の日には、場内を駆け回っているのも目にしました。

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私がずっと見ていたからだと思いますが、ネロもチラッチラッと、まだあいついるのかーみたいな感じでこちらを見ていました。

冬毛のせいもありますが、まだまだ足腰丈夫だぞというのがこの大きな体格から分かります。

 

常連さんのお話では、ネロとセロは特に体が大きいそうで、なんでもネロは末っ子だから甘やかされてたくさんご飯がもらえていたとか何とか。

 

 

空白の夏

それから、春と夏はあまり足を運べず、唯一の写真はこちらです。

すみません...この子がネロだったかセロだったかの記憶があいまいで...

耳が垂れているようにも見えますが...

 

 

初めての遠吠え

2023年の秋以降は、長時間滞在や毎日の訪問は厳しいですが私なりに頻繁にオオカミ舎に足を運べました。

夏明けの初訪問ではネロもセロも室内のお部屋で過ごしていました。

私が訪れるのの午前中が多かったので、まだ外に行きたい時間ではなかったのでしょうかね(?)

 

寝っ転がるセロ

 

丸くなるネロ

時々体を起こしこちらを確認していました。(ピントがまったく合っていないですが...)

 

 

また別の日、気温も下がり紅葉深まる中、初めてセロの遠吠えをきくことができました。

 

 

一方のネロは、室内の奥の方にいてうまく見えませんでした。

 

 

ネロとのお別れ

年が明け2024年になってからは、3月に久しぶりにオオカミ舎に行けました。

その際すでにネロは口の周りが腫れているようで、痛々しい姿に心が痛みました。

 

口周りが腫れているネロ

 

それでもしっかり歩いている様子が見れました。

 

セロは、足が少しふらついているようにも見えましたが、外(小放飼場)に出て岩に上っている様子も見れました。

 

ガラスそばに来てくれたセロ。

外から飼育員さんを探していたのかもしれません。

 

岩に上るセロ

 

この日が、私が最後にネロに会えた日になってしまいました。

次の4月に行ったときには、すでにネロは亡くなったあとでした。

顎の腫れは骨肉腫で、母親からの遺伝の可能性もあるという話をききました。

動物慰霊碑を訪れてみると、ネロの写真が数枚飾られ、お花もお供えしてありました。

短い期間ではありましたが、ネロが見せてくれたオオカミの姿を覚えておきたいと強く思います。

 

私がネロに最後に会った日

 

ありがとう、ネロ。

 

それからのセロの日常

ともに放飼場に出ることもなくなったものの、同じ室内にいれば壁を隔てようともそこに在ることはお互いわかっていたのでしょう。

ネロがいなくなったと気づいたセロはどんな心情で毎日を過ごしているのかな。

「ネロ、どこにいったの?」と問いかける日もあるのかな。

 

ネロがいなくなっても、セロの日々は続いていきます。

5月で17歳にもなりました。

 

寝室で寝ころがり、

 

寝ころがり、

 

時にお庭に出て、

 

遠吠えもします。

 

お水を飲み、

 

ごはんを待ちます。

 

 

外で飼育員さんを探します。

 

飼育員さんが室内に帰ってきました。セロも嬉しそうに室内に戻ります。

 

 

「調子はどうじゃ?」と聞かれるセロ。

「お肉ください」と返すセロ。

 

 

お肉をもらえました。

 

食後のブラッシングを手伝ってもらうセロ。

換毛期だもんね。f:id:life_science:20240607132147j:image

 

そしてこちらをちらっと。

「ぼくかわいいおじいちゃんでしょ?」とでも言っていそうな目です。

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そして6月、私の訪れた午前中はセロは後ろを向いて寝ていました。

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また夏が明けたら来るからね。